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福祉分野の起業家になる
福祉の事業を起こすためには、まず福祉サービスについての最近の動きを知ることが大切です。
文房具や洋品店を開業する場合には、その商品をどのように選ぶか。どの場所で店を開業するのか。どのぐらいの規模で、社員は何人か?それぞれいくらの価格で販売するのか、などについて決めてから事業を起こします。
ところが、福祉分野の事業については文房具や洋品店のように勝手に起こすことはできても、それでは事業になりません。
高齢者が増加して、介護を必要とする人々が急増することは事実ですが、その人々が受けるサービスや購入する物品については、行政から補助がでるものや公的介護保険(以下、介護保険)が適用される場合が多いのです。
従って本人の自己負担が少ないサービスや購入する物品については、行政から補助が出るものや介護保険が適用される場合が多いのです。
どの商品やサービスでどのような条件を満たせば、補助金や介護保険の対象になるかについて知っておくことが、必須の課題です。
もちろん、そのような補助金や保険を使わずに自費で商売をすることは自由ですが、購入者がお金持ちに限定されてしまいます。
世の中には高度のサービスを高額でも利用しようとする人々もいますし、一部の人を相手にするのも一つの選択肢です。
ちょうど医療保険を一切使用できない自費の病院があるようなものです。
しかし、一般的に良いものを安く手に入れたいのが、庶民の感覚です。
起業家を目指すなら、本人の自己負担を少なくしながら、サービスを考えるのが成功への道です。
福祉事業分野でも誰もがサービス利用や福祉物品の購入はでき、商品の内容の差が分かるようになったときには
「もっとお金を払っても最高のサービスを」
と言う人は増えてくるでしょう。医療分野では現在、別料金を支払えば、個室ベッドでふろ付きの部屋に入院できたり、食事が別になったり、会員制の健康チェックや医療が受けられたりしています。
福祉でも介護保険の導入でビックバンがスタート、こうしたビジネスは登場するでしょう。
カテゴリー:日本の福祉について
自治体による福祉サービスの格差について
現在、自治体による福祉サービスの格差には自治体の高齢化率や生活環境だけではなく、首長のリーダーシップ、地域福祉のキーマンの有無、財政事情といったことが反映されています。
地域によって公的な福祉サービスの種類、所得制限や年齢制限、応能負担額が異なるなど、どこに住むかによって、自分が受けられるサービス内容が異なっています。
たとえば寝たきり高齢者を対象とした入浴サービスの実施は、東京都千代田区では60歳以上が対象であり、本人負担金はゼロですが、文京区では65歳以上が対象で、本人負担金は1回1000円になっています。
このように都・県レベルでも同一都・県内の自治体ごとでも、市区町村が都県の制度に上乗せしているか、単独事業として特色を出しているかなど、自治体ごとでサービス内容が異なっています。
これまでの措置費の財源は基本的に租税を財源とする一般会計に依存してきたため、財政的なコントロールが強くなりがちで、
制度的には所得制限ははずされていますが、実際は所得調査を行い、家族状況も勘案されるなどのサービス供給の調整を行ってきました。
しかし、公的介護保険制度は、全国一律の制度であり、所得面などで供給対象からはずれてきた人たちを救うなどサービスも普遍化される予定ですが、
実際には自治体の財政難から公的介護保険によるサービスに必要な施設や要員を確保できない懸念があります。
一方で民間によるシルバービジネスも地域特性や人口規模などの市場原理によって進出できる地域が決まっているため、地域間のサービス格差が拡大します。
このような地域間の格差を埋め、不足するサービスを補完する役割をどうするかが行政に課せられた課題となるでしょう。
過疎地や経営効率の悪い地域など民間企業が敬遠する分野を社協やボランティアが担うなど、すみわけが進むと考えられます。
市町村が保険者であるため、住民は自らの地域の介護サービスの質や、近隣自治体とのサービス格差に敏感になり、より良いサービスを求めての「介護移住」などが起こる可能性もあります。
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公的介護保険制度が福祉にもたらしたもの
介護負担の増加に対して、市町村の実情に応じ、国はこれまで福祉関係人法の改正を行い、高齢者保険福祉サービスの市町村への一元化を実施し、自治体に老人保健福祉計画の 策定を義務づけました。
それをもとに高齢者保健福祉推進十ヵ年戦略(ゴールドプラン)」(1990年)の策定を行い、さらに福祉人材センターの設置(1991年〜93年)や福祉人材確保法(1992年)の制定、新ゴールドプランの策定(1994年)、介護休業法の制定(第一次改正1995年10月、適用は1999年4月)などさまざまな対策を講じてきました。
1997年12月9日に成立し、12月17日に公布された公的介護保険制度は少子・高齢化による今後の財政難、医療保険や年金制度の破綻を懸念した社会保障制度の構造改革のひとつとして創設されたものです。
それでは公的介護保険制度によって福祉サービスの何が変わったのでしょうか。
公的介護保険制度の審議経過や制度そのものについては既に詳しく紹介されている文献も多いので、ここでは公的介護保険制度の導入によって介護の問題点がどのように解決され、福祉サービスがどのように変わるかについて述べることとします。
これまでの公的福祉サービスは要介護者の家族等からの申請に基づき、行政が支給を決定し、行政が直接もしくは社会福祉法人を通じて供給を行う、いわゆる「措置」でした。
措置制度はかつては救貧対策的な色彩も濃かったため、サービスを利用する側には、心理的抵抗感があることは否めません。
また、市町村の財政上の制約などからサービスの内容・量に限界がある、供給側の論理でサービス供給が行われ、利用者である要介護者や家族の意思が尊重されないなどの問題もありました。
公的介護保険制度は社会保険方式のもとで、利用者は保険料を支払い、サービス利用にあたっては利用者とサービス提供者(機関)との契約になるため、
利用者は「サービス受給は権利である」との認識を持つようになります。
従来の措置制度による福祉サービスでは「世話をしてもらう人」と「して上げる人」との上下関係が出来る、つまり
「お世話をしてもらうのだから仕方が無い、文句は言えない」
といった問題点もありましたが、今後は契約に移行し、利用者はサービスに対して1割の利用料を支払うことになるので、サービス供給者と利用者が対等な関係になるとともに、利用者側にコスト意識が生まれることになります。
民間によるサービス供給が拡大する
これまでの公費利用による措置制度や社会福祉事業法といった枠組みのなかではサービス供給主体は、市町村、社会福祉法人や市町村から委託を受けた民間事業者に限られており、サービスの需要に対する絶対量が不足していました。
公的介護保険制度の下では、民間企業や医療機関などの役割発揮が拡大されました。
公的介護保険制度ではサービス供給量の確保、公正な競争による質の向上とコスト低下の2つの目的を達成するために民間企業の活用が求められています。
この将来市場を見込んで近年、民間企業の介護分野への進出が盛んになってきています。
介護保険法と同時に成立した医療法の一部を改正する法律では、これまで在宅介護の分野に進出するためには株式会社などの別法人を通して事業を行わなければならなかった医療法人に対し、
直接、医療法人が在宅介護サービスを実施し、収益を上げることが認められました。
これは政府が介護サービスの基盤整備を積極的に推し進めるため、規制緩和を実施するものです。
このため、多様な供給主体が福祉サービスに参入してくるでしょう。
福祉サービスの質的向上につながる
公的介護保険制度の導入によって、サービスが量的に充足した段階では供給者間の競争が起こり、量的拡大だけではなく、福祉サービスの質的向上が期待できます。
以前の制度のなかでは、たとえば特別養護老人ホームに入所を希望する場合でも、施設が選べないなど、利用者である要介護者や家族の意思が尊重されないといった問題がありました。
また施設側である特別養護老人ホーム事業も行政の委託事業の枠内にあり、公的な予算に応じた施設・介護サービスを決められた範囲内で実施してさえいれば良かったのです。
しかし、公的介護保険制度のもとでは、5年間の経過措置をおき、施設と利用者が自由に契約を結ぶことになります。
これによって施設入所をする場合でも、極端な言い方をすれば特別養護老人ホームにはいるか、老人保健施設、介護力強化病院を選ぶかが選択でき、
同じ特別養護老人ホームに入所するのであれば、少しでも条件やサービスの良いところを選択しようとする動機が働くことになります。
そのため在宅サービスや施設サービスを提供する事業者側は、自ら顧客を開拓し、必要なサービスをきめ細かく提供するといった顧客満足度を高めるための経営努力が求められます。
さらに自由契約によって利用者ニーズが喚起され、サービス形態もこれまでのように画一的なものではなく、緊急性、柔軟性、個別性、選択性など民間事業者の得意分野が発揮出来るようになります。
このように、メリットを挙げると、細かいところではまだまだあるのですが、(もちろん問題点もあります。)公的介護保険制度によって日本の社会福祉が一歩進んだといえるでしょう。
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介護の抱える様々な問題
高齢者は非常に個別性、多様性に富んでいるため、高齢者イコール虚弱や要介護といった見方はできませんが、
75歳以上の後期高齢者が増加することによって、いわゆる生活面での援助や介護を必要とする高齢者が増加し、介護発生率が高まるとされています。
後期高齢者は1995年の5.7%から2050年には18.8%になり、自分自身や配偶者の老後、親の介護など、介護に関する問題は男女や世代を問わず普遍的な問題となりつつあります。
総理府が行った調査「高齢期の生活イメージに関する世論調査」によれば、老後に不安を感じる人の割合は全体の89.2%にも達し、
その不安の中でも
「自分や配偶者が寝たきりや痴呆性老人になり介護が必要になったときのこと」
と回答した人の割合が約半数にもなっています。
このように今日、国民が老後に対して抱いている最大の不安は介護の問題であり、介護状態の長期化・重度化、介護者自身の高齢化など介護の現状を考えると、「介護の社会化」は緊急課題といえます。
また、高齢者の死に場所は病院などの施設が増えており、高度に管理された中で人生の最期を迎えることが多くなっています。
死亡前3ヶ月間において介護が必要だった者が介護や医療に要した費用は32.3万円で、そのうち7割が医療費になっています。
家族に大きな負担をもたらす在宅介護
わが国の高齢者の半数が家族と同居していることから、介護は家族に大きく依存し、在宅介護イコール家族の介護になっています。
寝たきりの高齢者の介護をしている人の85%が女性で、妻や嫁や娘が介護の主な担い手になっており、家族介護のために働き盛りの人、特に中高年の女性が休職や退職を余儀なくされています。
長期化する介護期間と経済面での負担
高齢者の寝たきり期間は長期化傾向にあり、
3年以上寝たきり状態にある者は全体の53%を占め、さらに1年以上寝たきり状態にある人は約4分の3になっています。
寝たきり者の介護等にかかった1ヶ月の平均費用額は50600円で、1ヶ月未満では93900円、1〜6月未満は77900円、6ヶ月から1年末満は58300円と期間が長くなるにつれて減少するものの、
高齢者を抱えるがゆえに就労機会を失うことと、オムツ代や介護機器の購入など介護関連の支出は高齢者を抱える家庭にとって二重の経済的負担になっています。
老老介護による肉体的・精神的負担
介護に携わる者の年齢は50歳代27.3%、60歳代28.0%、70歳以上22.9%、つまり65歳以上が35.7%を占めるなど老老介護となっており、
体力の衰えてきた中高年者にとって肉体的な負担が大きくなっています。
それだけではなく要介護者を抱える家族はストレスや睡眠不足のほか、家を留守に出来ない、自分の時間が取れないといった大きな精神的負担をも抱えています。
連合が行った調査では家庭で介護する人の家族の34.6%は要介護者に対して憎しみを感じたことがあり、49.6%の人が実際に虐待を行ったことがあるという結果が得られています。
このように介護者が精神的に追いつめられることは、介護の質を低下させるだけではなく、高齢者を抱える家庭を破綻させることにもなり、
高齢者自身や家族の人権上からも大きな問題となっています。
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